本物のサステナビリティ経営とは?
― 長期的に成長し続ける企業になるために必要なこと
近年、「本物のサステナビリティ経営」という言葉をよく耳にするようになりました。 なぜわざわざ「本物の」という前置きがされるのでしょうか。 これは、残念ながら形式的な取り組みに留まる「うわべだけのサステナビリティ経営」を行っている企業が多いからといえるかもしれません。
本コラムでは、企業がサステナビリティを実践する際に重要となる経営視点に焦点を当て解説をしていきます。
これまで、日本企業の多くはサステナビリティへの取り組みを重要な経営課題とは見なしておらず、結果的にその取り組みが単なる「アピール合戦」に陥ってしまっている状況が見られました。もちろん、サステナビリティへの取り組みが全くなされていなかったわけではありませんが、多くの場合、投資家からの評価や外部のプレッシャーに応じて、「やらなければいけない」という義務感から進められていたのが実情でしょう。
しかし近年、前述の通り「本物のサステナビリティ経営」へのシフトが求められています。サステナビリティへの取り組みが「企業価値の向上」という、より内発的な動機によって推進されるようになりました。これは、企業の自己中心的なアピールや慈善活動とは一線を画しています。現在、サステナビリティへの取り組みは「ステークホルダーと共に成長を目指す」新しいビジョンへと変化し、この考えは広く受け入れられ始めています
出所: PwC コンサルティング合同会社「なぜ『本物のサステナビリティ経営』が求められているのか」
https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/prmagazine/pwcs-view/202105/32-01.html
ステークホルダーにも分かりやすい「環境貢献の見える化」を実現
サステナビリティへの取り組みを通じて、企業価値を向上させるためには、その取り組みを世の中に積極的に「お知らせ」していくことが重要です。 企業内部で粛々と進めていても、ステークホルダーの目に止まらなければ、その価値を知ってもらうことはできないからです。 特に消費者に対しては、統合報告書の非財務情報の開示だけをもって取り組みの価値を伝えることは困難です。
企業側からの「私たちはこんな取り組みを行っています」「このようなグリーンな活動に一緒に参加しませんか?」という積極的な発信は、消費者との間に双方向のコミュニケーションを生み、取り組みに参加して頂くきっかけとなります。
企業のサステナビリティ施策について積極的に伝えることで、消費者との心理的距離は着実に縮まります。その結果としてサステナビリティへの取り組みを通じて社会へ提供する価値を認められ、「選ばれる企業」へと成長する道が開かれます。 これが「本物のサステナビリティ経営」に向けたアプローチの一つと言えるでしょう。