海洋プラスチックごみ問題 2024.06.30

海洋プラスチックごみ問題の現状と、「ボトルスカッシュ」の役割

海洋プラスチックごみは世界的な環境問題として深刻化しており、特に使い捨てプラスチック製品の増加がその原因とされています。現在推定で1億5千万トンものプラスチックごみが浮遊し、その量は毎年約800万トンずつ増え続けています。
海洋プラスチックごみが、海洋生態系や人間の生活に大きな影響を及ぼしていることから、プラスチックをリサイクル資源として再製品化を徹底していく動きが様々な業界で加速しています。本コラムでは、海洋プラスチック問題の現状を解決するために求められているサーキュラーエコノミーの重要性と、それを支えるTERAOKAの「ボトルスカッシュ」の役割について紹介します。

増え続ける海洋プラスチック

過去50年間でプラスチックの年間生産量は20倍に拡大し、現在では毎年3億トン以上が生産されています。この生産量の増加は人口増加を上回り、一人あたりのプラスチック消費量も急速に増加しています。プラスチックの利用は生活のあらゆる場面で不可欠となり、食料品の容器や飲料ボトル、緩衝材など、日常的に使用される製品がプラスチックの主要な用途となっています。しかし、これらの製品の多くが使い捨てであるため、大量のプラスチックごみが生成されているのが現状です。使い捨てプラスチック製品は、全プラスチックごみの約60%を占めており、その多くが適切に処理されず、結果的に海洋に流れ込んでいます。 海洋に流れ込んだプラスチックは、海流や風によって世界中に広がり、北極から南極までの広範囲にわたる海域にプラスチックごみが散在しています。

マイクロプラスチックの課題と現状

海洋に流れ込んだプラスチックごみは、紫外線や波の力によって細かく砕け、直径5㎜以下のマイクロプラスチックになります。このマイクロプラスチックは、目に見えないほどの小さなサイズにもかかわらず、重大な環境問題を引き起こしています。マイクロプラスチックは、有害物質を吸着し、毒性を持つ化学物質が海洋生態系全体に入り込みます。

海洋生物に対する影響は甚大です。例えば、ウミガメがクラゲと間違えてポリ袋を飲み込んでしまったり、胃の中にプラスチックが詰まり、餓死してしまうケースが報告されています。プラスチックを摂取している割合はウミガメで50%、海鳥では90%にも達しており、プラスチックが海洋生物の生活にどれほど広範囲に及んでいるかがわかります。 さらに、大型の海洋哺乳類、例えばクジラの胃の中からも大量のプラスチックが発見されており、その重さは数十キログラムに及ぶこともあります。

マイクロプラスチックは食物連鎖を通じて人間にも影響を及ぼす可能性が高まっています日本近海で捕獲されたイワシの8割の体内からプラスチックの破片が発見されており、海産物を通じて私たちの食卓にもプラスチックが入り込んでいるのです。

こうした現状から、リサイクル資源として再商品化を徹底する動きが急速に広まっています。特に、日本では製品の再資源化を促進するための法的枠組みが整備され、企業や自治体が積極的に参加する形で、資源循環を促進する潮流が形成されています 。このような取り組みが進む中で、プラスチックごみを減少させるための具体的な対策として、リサイクル技術の向上や、新たなリサイクルシステムの導入が求められています。

海洋プラスチックごみ削減への世界の動きーサーキュラーエコノミー

世界中の国や企業は、深刻な海洋プラスチック問題に対処するため、サーキュラーエコノミー(循環型経済)への移行を推進しています。サーキュラーエコノミーとは、資源を消費して廃棄する一方向の経済モデルから、資源を回収し再生、再利用する循環型経済モデルへの移行を目指すものです。この考え方は、従来の「使い捨て」文化から脱却し、持続可能な社会を築くための新しいアプローチとして注目されています 。 EUは2015年に持続可能な経済成長戦略を発表し、多くの国や自治体がその実現に向けた施策を講じています。

サーキュラーエコノミーを実現する主要な要素の一つが「水平リサイクル」です。水平リサイクルは、使用済み製品を原料として、同じ製品を新たに作るリサイクル手法です。これにより、ボトルからボトルへ、トレーからトレーへといった形で資源が循環し続けます。 水平リサイクルは、資源の浪費を防ぎ、使用済みプラスチックがごみとして海に流れ着くのを防ぐことができます。これにより、海洋プラスチック問題の解決に大きく貢献することが期待されています 。

→水平リサイクルについてのコラムは こちら

サーキュラーエコノミーを支えるボトルスカッシュ

「ボトルスカッシュ」は、使用済みペットボトルを効率的に回収し、減容することで、海洋プラスチックごみの削減に貢献することができるソリューションです。飲料用プラスチックボトルは、使用後に適切にリサイクルされれば、資源として再利用することが可能です。しかし、適切なリサイクルが行われなければ、ごみとして海洋に流れ込むリスクが高まります。 「ボトルスカッシュ」は、こうしたリスクを軽減し、「リサイクルの入り口」として機能することで、異物を受け付けず、きれいなペットボトル資源のみを回収するリサイクルの輪をつくります。

「ボトルスカッシュ」を用いることで、使用済みペットボトルは効率的に減容され、リサイクル材として再利用されます。この「ボトルスカッシュ」で減容されたペットボトルは、大切なリサイクル材として日本で初めて意匠登録されています。 これは、使用済みペットボトルが「ごみ」ではなく、価値ある「資源」として評価されている証です。

TERAOKAは、「ボトルスカッシュ」シリーズを通じて、収集・運搬業者、リサイクラー、飲料メーカーなど、さまざまなステークホルダーと協力し、海洋プラスチックごみの削減を目指しています。さらに、適切なペットボトルのリサイクルを通じて、持続可能な社会の実現に向けたリサイクル活動を支援していきます 。

出所:
環境省令和2年版 環境・循環型社会・生物多様性白書

https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r02/html/hj20010103.html
WWFジャパン
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3776.html
環境省 プラスチックを取り巻く国内外の状況
https://www.env.go.jp/council/03recycle/y0312-03/y031203-s1r.pdf
環境省 令和5年版 環境・循環型社会・生物多様性白書
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r05/html/hj23010202.html
日本貿易振興機構(ジェトロ)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/03/5ba822c725506e14.html
TERAOKA News Letter
https://acrobat.adobe.com/id/urn:aaid:sc:AP:3a2ca067-f672-4a46-99a9-a706fcd3ea39

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