今号のテーマは『おいしく食べてフードウェイストを減らす』です。
日本では「食品ロス(事業系/家庭系)」と呼ばれている食品廃棄物ですが、世界では発生工程によって「フードロス」と「フードウェイスト」に分けられています。
国連食糧農業機関(FAO)は、収穫後、輸送、製造・加工・包装など主に製造される工程、つまりサプライチェーンで失われる(Loss)食品を「フードロス」と呼び、小売や外食、家庭など消費される過程で廃棄(Waste)されるものを「フードウェイスト」と定義しています。
「フードウェイスト」が発生する場面は、大きく分けて「小売」「外食」「家庭」の3つ。日本の食品ロス量の内訳と照らし合わせると、最も多いのが家庭からの排出です。家庭で食品を長くおいしく食べるために、食材に適した保存方法を工夫したり、献立アプリやフードシェアリングアプリなどの便利なサービスを使ったりすることも有効です。
小売や外食の店舗でロスを減らす手法も多様化しています。AIを活用して売れ行きを予測し、無駄のない仕入れ量を算出する方法が国内外で効果をあげています。食品の包装や保存では、容器内の気体を不活性ガスに置き換える「MAP包装」や、食材の細胞を壊さない冷凍技術が、商品のロングライフ化を後押ししています。
これまで廃棄されていた規格外品の青果や、価値がないとされてきた魚を商品化する企業、またアップサイクルにより新たな製品づくりに取り組む企業も増えており、マーケットを広げています。