製造作業を改善するためのアプローチとは?製造現場によくある課題例とともに解説
製造業のビジネスを拡大する上では、製造現場における効率化は重要なポイントとなります。
しかし、製造作業の効率化の必要性は理解しているものの、実際にどこをどのように改善していくべきか、
改善策の立案に頭を悩ませている製造現場のご担当の方もいらっしゃるかと思います。
製造作業を改善する方法は数多く考えられますが、考えうる方法を手当たり次第に実施しても無駄になってしまう可能性があります。
まずは業務フローごとに見直しを行い、どこに問題があるのか、問題に対してどのような改善策を実施していくかを
順序立てて立案していきましょう。
本記事では、製造作業のフローを改めて整理した上で、業務フローに応じたよくある課題例と改善アプローチをご紹介していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
改めて抑えたい製造現場の業務フロー
はじめに、製造現場の業務フローを改めて整理していきます。
本記事では下記の4フローに分けて解説いたします。
- ①原料倉庫の作業
- ②計量現場の作業
- ③攪拌現場の作業
- ④トレーサビリティの作業
①原料倉庫の作業
原料倉庫の作業では原料の入庫に関する作業が発生します。
・原料倉庫の作業例
原料の注文、原料の過不足の管理、原料の所在場所の管理 など
②計量現場の作業
計量現場においては、基本的に次のフローとなる原料の投入・攪拌の準備作業が発生します。
すなわち、原料の計量作業です。
・計量現場の作業例
原料の計量
③攪拌現場の作業
攪拌現場においては、計量した原料を攪拌する作業が発生します。
・攪拌現場の作業例
原料の投入、攪拌
④トレーサビリティの作業
製品の品質管理において重要となる作業です。
原料の調達から製造の各工程まで、日付や担当者、製造方法まで記録して履歴を追うことができる状態にしておくことを指します。
・トレーサビリティの作業例
製造工程の記録管理
製造現場によくある課題例と改善アプローチ
製造現場の業務フローを改めて整理したところで、業務フローごとの課題例と改善アプローチについてご紹介していきます。
①原料倉庫における課題例と改善アプローチ
・原料倉庫における課題例
原料倉庫の現場においては入庫に関する課題が考えられます。
課題例1.原料を発注する際に、どの程度の量が適正なのか判別できない
課題例2.在庫の所在が不明確になっている
・原料倉庫における課題例から起こりうるリスク
上記のような課題があると、原料の廃棄ロスの増加や、十分な在庫があるにも関わらず発注することで余分なコストが増える、
在庫の不足により製造ができなくなるといった問題が発生する恐れがあります。
・原料倉庫における改善アプローチ
いずれの課題も「在庫管理を適切かつ効率的に行うこと」に集約されるでしょう。
課題例を個別に見ていきます。
課題例1.原料を発注する際に、どの程度の量が適正なのか判別できない
大前提として「原料の在庫がどの程度残っているのか」を随時、漏れなく記録しておく必要があるでしょう。
また、製品の製造量が常に一定とも限りません。
多くの注文があった際には大量の製造が必要になります。時期によって注文量に差が出ることもあるでしょう。
このような場合、会社内に営業部門があれば、随時製品の発注状況を共有してもらえるよう、綿密な連携が必要になります。
時期による注文量の傾向を知るためには、逐一記録を取りデータを蓄積していく必要があります。
課題例2.在庫の所在が不明確になっている
「どの在庫がどこにあるのか、しっかりと記録を取っておけば良い」といった話になりがちではありますが、容易なことではないでしょう。
例えば原料を計測する際に所定の位置から取り出したものの、なんらかの要因によって元の位置に戻せなかった…
といったヒューマンエラーが起こりえます。
このように、「在庫の所在が不明確になっている」という課題は
「原料名」と「保管場所」が結びついていないために発生していると考えられます。
まずは原料を保管する袋や段ボールなどにしっかりと見える形で原料名を明記すること、
また、保管場所の棚にもしっかりと番号を振る・保管する原料名を記載する…
といったことである程度解消される可能性があります。
②計量現場における課題例と改善アプローチ
・計量現場における課題例
計量現場においては、原料を計量する際に生じる課題が考えられます。
課題例1.計量する原料を別のものと入れ間違える
課題例2.重量を見間違える
・計量現場における課題例から起こりうるリスク
原料の計量ミスは製品を正しく製造できないリスクを生み出します。
具体的には誤った量、原料の混入により製造ロスが生じる、最悪の場合は出荷停止や製造商品の回収に陥る恐れもあるでしょう。
・計量現場における改善アプローチ
いずれも「入れ間違え」「見間違え」のヒューマンエラーを解消する必要があると考えられます。
「確認」のアプローチ
間違いを減らすために、確認フローを増やす対策方法が挙げられます。
例えば、指示書内にチェック項目を設けて、計量する原料に間違いはないか、重量に間違いはないかを都度チェックしてもらうだけでもミスが減る可能性はあります。
「視認性」のアプローチ
また、視認性の向上を行うアプローチもあります。
保管袋に記載されている原料名を見やすくするだけでも、別のものと入れ間違える機会は減るかもしれません。
計量器が見づらいため重量を見間違える、といった声があるようであれば、別の見やすい、わかりやすいものに代える方法もあるでしょう。
③攪拌現場における課題例と改善アプローチ
・攪拌現場における課題例
攪拌現場においては、原料を攪拌機に投入する際に生じる課題が考えられます。
課題例1.本来の原料とは異なるものを投入してしまう
課題例2.原料の二重投入・投入忘れ
・攪拌現場における課題例から起こりうるリスク
「計量現場における課題例」同様に、製品が正しく製造できないリスクを生み出します。
製造工程のやり直し、出荷停止、商品回収などにも繋がり、顧客の信頼を損ねる恐れがあります。
・攪拌現場における改善アプローチ
先に挙げた課題例はいずれもヒューマンエラーによるものです。
改善アプローチの考え方は計量現場と同様のものです。
「確認」のアプローチ
例えば、作業工程表にチェック項目を設けて、原料を投入するたびにチェックを入れるようにすることで、
投入ミスが減る可能性はあるでしょう。
「視認性」のアプローチ
例えば、攪拌現場のひとつ前のフローである「計量現場」で改善を図ることもできる可能性があります。
計量容器に投入の工程に応じた番号を振っておき、計量する際に1番にはこの原料、2番にはこの原料、といった工程順番に応じた準備をしておくことで、視覚的にも投入作業に対する迷いが少なくなることが期待できます。
④トレーサビリティの作業における課題例と改善アプローチ
・トレーサビリティの作業における課題例
課題例:製造実績がすべて手書きの管理
・トレーサビリティの課題例から起こりうるリスク
製造実績がすべて手書き管理の場合、まず実績を記録すること自体に手間がかかります。
手書きですので、記入漏れ、記入ミスも生じる恐れがあるでしょう。
記入漏れ、記入ミスが生じると顧客から原料についてのお問い合わせが来た場合、誤った回答をする可能性もあります。
索引する時間もかかるでしょう。
・トレーサビリティの作業の改善アプローチ
基本的に「時間がかかる」ことが課題となります。
手書きであっても、ある程度の印字したフォーマットを作成して極力手書き項目を少なくしたり、
お問い合わせの頻度が高い製品はすぐに索引できるような場所に保管したりといった対策が挙げられます。
まずは改善できそうな製造フローから見直しを
製造現場によくある課題例から改善アプローチを紹介しました。
今回、改善に対する視点と併せて改善案もご紹介しましたが、どれも比較的低コストで実施することができるものです。
まずは製造フローに対して、すぐに改善できることはないか検討してみましょう。
ただし、低コストでできることにも限界があります。
実施した結果、あまり成果が見られない場合はシステムの導入などをご検討いただくのもひとつの方法です。
弊社では製造作業においてもお役立ていただけるシステムをご用意しております。
お気軽にご相談ください。